症例:糖尿病とそれに伴う倦怠感やしびれなど


不定期ですが、過去の施術例や現在通院中の方の症状、治療の概略をご紹介しています。
はり・灸の治療がどのような症状に対してどのように考えて行われているか、
ご自身の状態と似た症状の方がすでに治療を受けているか、など参考になさってください。
なお、当然のことながら個人が特定できないよう配慮いたしております

「糖尿病と、それに伴う倦怠感やしびれなど」

40代男性

〇これまでの経過〇
2年半前~重度の糖尿病により腎機能が低下し、血糖コントロールをしないと命に関わる状態と診断。
以後インスリン注射や投薬、食事制限などで、いったん血糖値は安定しているが、腎機能はまだ少し低下状態とのこと。
腰が痛く、膝から下は少ししびれを自覚している。
疲れやすく、階段の上り下りでも息が切れてしんどい。仕事での疲労が抜けないので、もう少し元気に暮らしたいとの希望。

〇鍼灸院としての診断〇
数年にわたる糖尿病の状態、またそれ以前から長らくの不摂生と多忙により、身体の気の消耗が激しく、巡りは虚損している状態と考えた。
人体の気の生産を司る脾の働きをしっかりと補うことを狙い、まだ若さもあることと合わせて予後は良とし、回復を目指した。

〇施術方針〇
初診での東洋医学的診断は左適応の脾虚肝虚の相剋調整。
腹の力もなく、べとつき冷えて全体的に虚している状態。徹底的に気を補う方針とした。

〇施術内容〇
一回目…
左の脾経、心経の気を補い、右の肝、腎の経も同様に補う。
右の胃経にも補法の鍼をおこない、お腹と背中の虚しているところをお灸で温め、終了。

二回目(一週間後)
ひざから下のしびれた感じが少し良かった気がする、とのこと。他体調は変わりなし。
一回目とほぼ同様の治療。

三回目、四回目も同様に、身体の元気を補い、体調を底上げする狙いで治療。
五回目(初回から一か月ほど)で、日常の段差が苦に感じなくなり、階段の上り下りが楽になった、とのこと。またおおむね体調が良いと感じられる日々が増え、仕事後の疲れかたが楽になり、起床時のスッキリ感が感じられるようになってきた。

以降、十回目の治療までは週に一回程度。
途中に仕事が多忙のため腰痛が出たりするときもあったが、以前より回復も早く、不安感がなかったとのこと。
その後は二週に一回と間隔をあけ、現在(初診から2年近く)では月に一回の定期治療にてメンテナンスを継続。
治療に使う経絡は都度変更もあるが、おおむね脾の経絡を中心に補い、身体の状態に合わせて腎の経絡を主体とするときもあった。

定期的な医師の診察でも、現在は数値上問題ない状態を維持できていると言われている。

〇施術後のケア〇
本人も病識があり血糖値や体重コントロールをしっかりと行えていて、定期的な医師による診察と検査もあるため、当院としての特別な指示は無し。

押してもだめなら…

こんにちは、大林です。
今日は治療の考え方のお話を…。

当院では、「ほかに行っていたけど、なかなか良くならないから…」と
おっしゃる患者さんがわりと頻繁にお見えになります。
いわゆる「最後の砦」「藁をもつかむ…」という位置づけになりやすいのが鍼灸ですね。
だって痛そうですし、よくわからないし…ある意味仕方ないことでもあります。

また他の院と言っても病院、接骨院、整体院、鍼灸院…様々です。
中には何年もかけて何か所もめぐって、「最後に鍼でもいいから」とうちへたどり着いてくださる方も。

そういう方々の身体を診ると、
・痛い箇所は基本的に固く、しかも深い
・全体的には体の気は虚してしまっている
・流れ方も悪く、色つやも少なく、肌に元気な感じが少ない

だいたいこんな感じで、症状が出てから長いため身体の気が不足し、
本来なら自分の身体で治せるものもうまく治せない状態に陥っています。
また、痛い場所、主訴部の表面は力なく虚しているけれど、その奥に固く滞った塊が触れます。
そして仕方のないことですが、ご本人には「体の気が虚している」自覚はないです。
なのでいつも通りの生活を送り、「どうして治らないんだろう」「痛みがすぐぶり返すんだろう」とお困りなのです。

このような方々の治療は、押して押して、足し算ばかりの治療ではなかなかうまくいかないことが経験的にわかっています。

押してダメなら引いてみるのです。

つまり、「治療量を減らす」「刺激する量を減らす」ことが、
身体の働きを呼び覚ます鍵となります。

マッサージにしろ、接骨院での電気や手技療法にしろ、
症状が取れてこないと「もっともっと」となりがちです。
これは患者さんも、施術者側も同じだと思います。
「あれがだめならこれも、これがだめならそれも加えていこう」
「これだけやったんだから、何かが変わってくれるだろう」
となるのが人情でもあり、西洋医学的な考え方の主流でもあるからです。

そこに少ない刺激で身体の様子を伺うようにそーっとした治療で身体の気を補うと、
身体が「今までのと何か違うぞ…?」という感じで反応します。

例えば

子供たちが騒いでいる教室で、先生もそれに負けないよう大きな声で「静かにしなさーい!」と言い聞かせようとしている状態と、
騒いでいる子供たちに対し静かに待つ先生を見て、生徒たちの中から「ちょっと静かにしよう」と自発的な動きが出てくる状態と…。

そんな感じを思い浮かべるとイメージしやすいかもしれません。
どちらがその場に適しているかはその都度の判断ですが、
今回ご提案しているのは後者なのです。
身体からの反応を待つのです。それを呼び起こせるだけの少ない刺激量で。

これには、患者さん自身もある程度の我慢が必要になります。
「早くどうにかしたい、してほしい」という焦りの気持ちの我慢です。

そればかりは申し訳ないですが…
今まで時間をかけて作り上げられてしまった体の状態が変わるには、
ほとんどの場合数週間~数か月はかかります。

ですがその間も少ない刺激の治療を受けた体は変化し続けます。
その変化をできれば楽しんでいただきたいし、「気の調整」を受けていただいたからには楽しみに観察していただきたい。

鍼灸はときに魔法のように劇的な変化を起こすこともありますが、
魔法のように見えるだけで、実は魔法ではありません。

その後、身体の働きが底上げされた後で以前に行っていた治療院さんの治療を受けると、
前よりも良い効果を実感しやすかったり…そんなこともあるものなんです。

半年以上、ときには何年も同じ症状に苦しめられている方が多くおられます。
足し算の治療から引き算の治療へ
少しばかり方針転換を考えてみられるのもいいと思います。

今かかっておられる治療院の先生や病院の先生にも、
「治療手段のどれかを止めて、身体の変化をみる」という相談をしてみられると、
きっと良い方法を一緒に考えてくださると思いますよ。

空間除菌について

こんにちは、大林です。

COVID-19、新型コロナウイルスの流行状況についてはまだまだ油断しきるには早い状況ですが、
暑さがやってきたのもあって、津山市内でもマスクをしている人が明らかに減った気がします。
杞憂に終わればよいのですが…。

さて、そんな中でもはりきゅうのすすめでは変わらず感染予防と院内消毒を徹底しています。
具体的には
・必ずマスク着用
・施術前後の手洗いとアルコールで手指消毒。鍼を開封した後なども
・患者さんの施術が終わる毎にベッド、リネン類、ドアノブなどの清拭
・常時窓を開放、または頻回の換気
・患者さんにも来院時のアルコール手指消毒の実施

あとは、基本の「十分な睡眠、栄養、適度な運動」で生活を規則正しく丁寧にすること。
以上のことを、来院くださる皆様と自分自身を守る意味で行っています。
当たり前のことを、当たり前にやることの大切さを日々感じますし、
習慣化されたことでさして負担に感じることもなくなってきました。

先日「空間除菌はやらないの?」と尋ねられたこともあり、今回はそのことについて書きます。

と言っても私は空間の除菌については専門的な知見もありませんので調べてみました。

…調べようとしてみました。

ですが「空間を除菌する」という概念は、医療の中には無いことがわかりました。

よくあるのは「次亜塩素酸水」を加湿器などで焚く方法が言われていますが、
調べてみても「やってみました」「このようにしています」という内容のブログ記事や宣伝ばかりで、
効果を調べて「有効である」とされているような根拠となる論文は、私には見つけられませんでした。
(もしご存知の方がいらしたら教えて頂きたいです)

そして「空間に塩素を含む微粒子をまく」ことの危険性を指摘する医師などの投稿も、
同時にいくつか確認できました。
曰く「空間にウイルスを殺す程度の濃度で次亜塩素酸水を撒くと、それを吸い込む人体にも有害である。濃度が薄ければウイルスにも効果は無く撒く意味もない」とのこと。

これも根拠となる論文は私には探せなかったのですが、「塩素ガスが人体に有害」ということは確かですので、
空間の塩素濃度が上がることは当然避けなければいけませんね。

ということで、空間の除菌は基本的に「換気」によって空間内のウイルスの量を減らすということ以外には無いようです。
よく「首から下げるウイルス対策」の商品も出回っていますが、消費者庁から注意喚起もされている「過大な効果の宣伝」には注意が必要です。
あと首から下げる除菌グッズも中身は塩素系ですから、水に濡れて雫が服についたりすると悲惨なことになるようですので、その点もお気をつけください。
空間を除菌しなくても、今までも言われてきた「手洗い、消毒をこまめにし、鼻・口・目を手で触らない」ことを基本にすれば十分な感染予防になりますので、

神経質になり過ぎずに、体調を整えて少々のウイルスが体に入っても大丈夫な状態を維持していきましょう。

新型コロナ、津山市と自分と

こんにちは、大林です。
立夏に入りましたが、昨夜から今朝は少し肌寒くなっていますね。
着るもの、羽織るものでしっかりと調節して、
首回りや足首など冷やさないようにしていきましょう。

さて、全国に向けられている緊急事態宣言を受けて、
ここ津山市でも新型コロナウイルス感染拡大を防止するため、
学校の休校や市営施設の利用停止などの措置が続いています。

そしてこれはひとまず5月末までと、連休明けの昨日7日に決定しました。
感染者拡大の状況が続くとなればさらに延長する可能性もあるとのこと。

津山市内では4月24日に感染者が確認されて以降、新たな感染者の確認はされていません。
津山市役所に勤めている知人も「市民の皆さん本当によく努力して協力してくださっている」と
言い、地方都市ならではの事情もあり皆さん感染予防にしっかりと努められている様子がわかります。

また全国に目を移すと、東京をはじめ大都市圏以外では、新規感染者が横ばいまたは減少となる地域もたくさんあります。
しかしここで気を抜いてはいつまたどこで感染者が増え始めるかわかりません。
治療薬とワクチンが開発され医療機関で一般的に使われるようになるまでは、
今まで通りの感染予防策をそれぞれが徹底するしかありません。

人間は良くも悪くも「慣れる」生き物です。
手洗いをはじめ様々な衛生習慣はすでに定着しましたし、
ウイルスという目に見えない存在をある程度意識して生活することにも段々と慣れてきます。

「どうなってしまうんだろう」という不安は人の体に悪影響をもたらしますし、
その精神的ストレスは様々な身体症状として表面化している人もいます。

「しんどい時は休む」

これも新たな生活習慣として当たり前になってほしいものの一つです。

以前も書きましたが東洋医学の歴史の中には疫病と戦ってきた時代のものもあります。
あくまで表に出ている症状に対してのものと、
「内傷無ければ外邪入らず」との言葉どおり、体の内側から疫病をガードするという治療の考え方が、東洋医学では示されています。

養生の基本に立ち返って、十分な睡眠、食事、規則的な生活習慣、運動。
まずはここからです。そして

・メンタルをやられてしまい気味の人
・肩や背中がばりばりに固くなってしまっている人
・胸やお腹が気持ち悪くなってしまった人
・心配事で眠りが浅かったり頭痛がきたりする人

どうぞ遠慮なく治療を受けて、楽になってください。
そうすることで体内の働きが正常に近づき、感染リスクを減らします。