当院の鍼灸(しんきゅう)治療。
受けていただいた方には頷いていただけると思いますが、とにかく「何をしているかわかりにくい」です。
脈診流経絡治療(みゃくしんりゅうけいらくちりょう)と言うんですけどね。
鍼(はり)を刺された感触も無ければ、痛くもないし。
「お灸を使いますよ」と言われてもほんのり温かい程度だし。
何回も手首の脈を確認したり、肩や足首のあたりを触って何かを確認してるし。
そうこうしているうちに「はい、今日はこれでいいですよ」と治療は終了する…。
とにかく「何をしているか、わからない。わかりにくい」ものです。
それで体が楽になっていくのであればいいじゃないか、というのもありますけれど。
はり灸で何をしているのかを説明してみたいと思います。
とても端的に、難しい言葉で言えば「経絡を以て病態の虚実を補瀉し、気血の状態を整える」ということをしています。
経絡(=気がめぐる回路)の状態を整えて、体が正常に働くためのお手伝いをしているのです。
これをどう説明しようかとよく考えるのですが、このごろは一つの例え話をしています。これならイメージしてもらいやすいかなぁ、というところです。
どのような例えかと言いますと、当院のはり灸治療は、「インフラ整備」ととらえていただくのがいいかもしれません、ということです。
皆様の体をひとつの町と考えたとき、はり灸の役割とは
・凹んだ道路を直したり
・水道管の詰まりを修理したり
・停電してしまった地区へ電気を届けたり
・崩れた崖の土砂を取り除いてスムーズに通れるようにしたり
といった感じで、うまく機能しなくなってしまったものをなんとか元の性能に近い状態に戻していこう、という修理屋さんのような役割なんですね。
人の体はなかなか部品の替えがききません。移植するなどはとても大変なことですよね。
ですので、今あるものを大切にメンテナンスしながら使うことが求められます。
体にとって、鍼灸治療がそのメンテナンス屋さんだ、ということです。
当然、道路の損傷がひどければそれだけ時間もかかります。
古くからある損傷であれば、またそれが小さなものであっても積み重なっているものであれば、当然修復(変化)させるのに時間がかかります。
反対に、水道管がドンと破裂したようなケガの場合は、一日でその症状が劇的に改善するような場合も多々あります。
このようなケースでは「一回でびっくりするくらい良くなった」ということになりますね。
鍼灸治療は体の修理屋さんであるということと、定期的なメンテナンスもできますので、そのこともぜひ記憶しておいていただければと思います。
今回は短めですがこのへんで。