住宅に関する優先順位の三段階

住宅兼治療室を新築することにした鍼灸師が、計画から完成後まで、家にまつわるあれこれを書き記します。
皆様がより健康で快適に過ごせる住宅を考える上で必要なことがらを、家の性能、お金、ライフスタイルなど様々な方向から検討します。
※2022年~2023年時点でのお話となりますので、今後の経済情勢や建材の進化・改良などにより不適切な情報となる可能性もあります。
十分にご留意の上でお読みください※


こんにちは。
今回は「住宅に関する優先順位の三段階」と題して書いてみます。

新築するにしても中古住宅を買うにしても、戸建てを選ぶにしてもマンションにするにしても、もうしばらくは賃貸でいくとするにしても…押さえておきたい考え方です。

あなたの「住宅に求める優先度の高い項目」はなんですか?

広くて明るいLDK。使い勝手の良いキッチン。掃除の手間が少ないお風呂やトイレ。家族や友達と楽しめる素敵な庭。趣向を凝らした趣味のお部屋…etc

人によって優先順位が異なるものはあるかと思いますが、これらはどれも捨てがたい内容ですね。
しかしこれらは、今回お話しする三段階の三段目。住まいの必須条件を考える上での順番としては最後になります。

◎最優先項目は「安全性」

住宅の役割で最も重要なことは何か。それは「命を守ってくれること」「安全であること」ですね。シェルターとしての役割が最も優先されるべきものです。
地震や台風が数多くやってくる日本においては、「耐震性」と、その耐震性を長期間にわたって維持できる「長期耐久性」がとても重要となります。これが住まいの一段階目です。

過去の大災害での被害を基に、耐震性能など建物に関する基準は改定が繰り返されています。2023年現在の耐震等級は1~3が定められており、耐震等級1は「震度6強~7の地震に一回は耐え、倒壊しない」レベル。耐震等級2はその1.25倍、耐震等級3は1.5倍の耐震強度を、構造計算によって導きだすということです。
これだけ読むと「耐震等級1があれば十分じゃないの?」と思われるかもしれませんが、「震度6強~7の地震に一回は耐え、倒壊しない」とは、言い換えれば「逃げる時間は稼げます。そのあと同じように住み続けられるかはわかりません」ということです。

熊本地震での記憶は新しいですが、史上初めて震度7の地震が短時間に2回起こったという事実があります。
実際に熊本県で被害の大きかった地域も、一度目には耐えたけど二回目で倒壊してしまった家屋があったそうです。
震度7が二回はとても珍しいとしても、巨大地震が起これば震度5弱や5強といった余震は数多く起こります。
耐震等級1では、本震を耐えたとしても余震で家の構造が耐えきれなくなり、住み続けられる家ではなくなってしまう可能性が大いにあると考えた方が良さそうです。耐震等級3を必ず備えた家づくりにしたいですね。

また、強風についても耐風性という計算があるそうですが、耐震性能が十分であれば耐風性もほぼ間違いなく担保されていると考えてよいそうです。強風に対しての備えというのは、建物のデザインであまり突飛なことをしなければ問題はなさそうです。
なお「耐震等級3相当」と謳う住宅メーカーもありますが、「耐震等級3」と「耐震等級3相当」は明確に違うことだそうですので、十分に注意してください。
「耐震」と「免震」は、車で言うと「ボディ、フレームの頑丈さ」と「タイヤ、サスペンション、エアバッグやシートクッションの性能」にあたります。
交通事故で大きなエネルギーが加わったとき、頑丈でなければ車ごと壊れてしまいます。いくら衝撃を吸収する性能が高くても、本体が弱ければ事故前と同じ性能でいることはできません。フレームが曲がってしまった車に乗るべきでないのはわかりますね。住宅においても同じで、まずは「頑丈さ」を求めるのが先となります。

住宅の長期耐久性についてですが、こちらも必ず考えておかなければいけません。日本という高温多湿であり、風水雪害もあり、地震が繰り返しやってくる土地においては、新築してもやがて建物は傷みます。いくら耐震等級3を取得していても、柱や壁がシロアリに喰われ、屋根や壁に水が滲みてカビや腐朽菌にやられてしまった家では、建築当時と同じ強度であるはずがありません。
メンテナンスは必ずいります。そのメンテナンス性を高めておくこと、さらには「あまりメンテナンスしなくてもよい性能」を住宅に備えておくことがとても重要になります。

◎二段階目は、トータルコスト

さて、そして二段階目です。ここには「気密性能、断熱性能、防犯性能など、日々の暮らしを快適にし、かつ生活コストを下げてくれる住宅性能」がきます。
「トータルコスト」と言い換えてもいいでしょうか。住まいを考えるにあたっては、これもやっぱりデザインや意匠性よりも優先されます。
ここではざっと述べますが、気密とは「家のすき間の小ささ」を言い、C値という言葉で表されます。断熱性とは「住宅の熱の逃げやすさ」を言い、UA値で表されます。どちらも数値が小さい方が高性能となります。

住宅に性能差があるということを、私も自宅の新築を通して初めて知りました。
高性能な住宅は、冬に寒くなく、夏に暑くなく、カビやダニの心配が少なく、それでいて光熱費がとても安く済むそうです。(ここはまだ、私も自分事として経験していませんので悪しからず…)

以前の記事にも書いたHEAT20のG2レベルの数値が、住宅において目指すべき基準となります。岡山県津山市や鏡野町においては、国の省エネ基準で定められている地域区分の4地域と5地域が混在しています。ですので4~5地域のG2レベルに対応した住宅性能を目指すのが良いでしょう。
UA値にして0.34~0.48が、津山市においての目指すべき数値になります。
参考:「住宅シナリオと外皮性能水準」

細かいことを言うと、数値合戦になってもあまり意味は無いそうで、冬を暖かく過ごすには日射取得といった「太陽に素直な設計」が考えられているかとか、窓や玄関ドアなど住宅開口部の断熱性能の方が重要とか、数値だけでは評価できない点も色々とあるようです。

トータルコストという考え方は、いわゆる初期費用のみ(建築費、土地代、申請諸費用など)で住宅を考えるより、そのあと10年20年30年と長期間にわたってかかるコストを考えていきましょう、ということです。
例えば、土地1,000万円、低性能住宅に2,200万円、その後30年で光熱費+修繕費などで2,000万円、計5,200万円の住宅と、
土地1,000万円、高性能住宅に2,600万円、その後30年で1,400万円、計5,000万円の住宅。

30年間で200万円はそこまで大きく感じないかもしれませんが、これに「快適な住み心地」というものが付いてきます。
30年間、夏暑く冬寒い家に住みトータルコストも高くなるのか、夏も冬も快適に過ごせてトータルコストも安くなるのか、ということです。
ごく単純な例えなので金額はテキトーですが、考え方としてはご理解いただけるかと思います。

◎最後に積むのは「使いやすさと好みの見た目」

そして最後に「デザイン、意匠性、家事動線の良い家」を考えることになります。
これを最優先にしてしまいやすいのがほとんどの人だと思います。私も妻もそうでした。また、ほとんどの住宅メーカーもここを最も強調してアピールするところだと思います。
「どういう生活をしたいか」「少ない家事動線で楽をしたい」などはもちろん考えていくことになりますが、優先度はあくまで上記の二つが高いのです。
いくらデザインが良くても、地震で壊れる可能性が高く、初期コストもトータルコストも高くなり、光熱費も高く、夏は暑く、冬は寒い住宅に住みたいですか?という話です。
逆に、二段階目で書いたように、性能の高い家では部屋干しでも洗濯物が乾きやすかったり、光熱費をあまり気にしなくて良くなるので冷房や暖房を十分に使って暮らしやすくなるといったメリットが出てきます。デザインと使い勝手は相反することもあるので、新居での基本の生活スタイルをよくイメージして間取りやデザインを考えたいですね。
家族や友人が集まったときのイベント事ばかりイメージして設備や間取りを選ぶより、まずはそこに暮らす自分たちの普段の生活をしやすくする方が優先となります。

長くなりましたが、今回はこのへんで。
次回は「私が参考にしている、住宅関連の情報発信者」をまとめたいと思います。

 

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