持ち家か賃貸か、新築か中古か①

住宅兼治療室を新築することにした鍼灸師が、計画から完成後まで、家にまつわるあれこれを書き記します。
皆様がより快適に過ごせる住宅を考える上で必要なことがらを、家の性能、お金、ライフスタイルなど様々な方向から検討します。
※2022年~2023年時点でのお話となりますので、今後の経済情勢や建材の進化・改良などにより不適切な情報となる可能性もあります。

十分にご留意の上でお読みください※


今回は「持ち家か賃貸か」「新築か中古か」について

住宅に関する論争の中でも終わらないものを最初に取り上げます。
結論から先に言いますと、正解は「人によります」

 

(笑)

 

まあ当たり前ですよね。
どこに住みたいか、どんな家に住みたいか、土地も併せて買うのか、家族構成はどうなのか、等々。
人により条件が異なるため、正解も人により変わります。
ですので自分で自分のことを考え、自分にとっての正解を選び取る必要があります。誰かに教えてもらって「これが正解」は危ないですよ。

まずは住宅に関する永遠のテーマ「持ち家か賃貸か」について。

これは津山市や鏡野町など地方の田舎ではおそらく、「持ち家の方がいい」という人が圧倒的に多いでしょう。
都市部に比べて土地が安く、広い住居を確保しやすいこともありますし、親や祖父母も当たり前のように戸建てを所有している環境がほとんどですから。
「賃貸で家賃を払い続けるより、いずれ自分のものになるのでローン組んで買った方がいい」
この考えはまだまだ根強いものがあります。一部正解とも言えますしね。

私も「持ち家、戸建てを買う」という選択をしました。
この理由については別記事で書こうと思います。

しかし、やはり人によっては「賃貸に住み続ける方が良い」場合があります。
なぜなら今の日本においては、「戸建て住宅は資産にはならない」からです。

私が考える持ち家と賃貸のメリットデメリットは以下のようなものです。

メリット デメリット
 

持ち家

広さを確保しやすい
改築やリフォームが自由
ローン完済後もしくは一括購入後は、支出を抑えられる
(最終的には)少額の資産になる
気軽に引っ越しできない
購入費用が高く、修繕費もまとまった金額がかかることが多い
不動産取得にかかる税金が多い
 

賃貸

ライフステージに合わせて引っ越しや住み替えをしやすい
不動産取得にかかる税金が無い
設備の修繕費が安い(または無い)
狭い。
設備が古くなっても、リフォーム等は基本的に無理
家賃を支払い続けなければならない
老後、借りられる物件が限られる

持ち家or賃貸を考えるときの大きな点はずばり「お金」と「ライフステージの変化に柔軟に対応できるか」になりそうです。
特に「お金」に関しては、個人の人生における資産形成を考えたときに「持ち家はかなりの確率で大きなマイナスに働く」可能性が高いのです。
家は資産じゃないのか、という声が飛んできそうですが、津山市や鏡野町といった田舎においては「土地は資産になり得るけど、住宅は資産とは言えない」のが現実です。厳密には「住宅ローン返済中は資産ではない」と言うのが正しいでしょうか。東京や大阪など大都市圏の一部のマンション以外は、日本中どこでも同じと言えます。
では住宅ローンを無事に支払い終えたとして、住み始めてから30年程度経過した物件の資産価値はどれくらいでしょうか。
それにそもそも、購入時に例えば3000万円の物件だとして、ローンを組んで買えば15~30年ほどかけて金利を数百万円は上乗せして支払うことになります。スタート地点からマイナスであり、資産形成の意味では不利になるのです。

 

資産とは「買った価格よりも高く売れるもの」「買ってから継続的に収益を上げてくれるもの」のことを言います。
ですので残念ながらお金の面から言えば、地方で買う家は資産とは呼べないのです。

 

不動産取得にかかる税金の代表的なものは固定資産税ですが、これは国が住宅購入を後押ししていることもあり減税措置が十分にあることは考慮に入れないといけません。
どのような住宅や土地を購入するかで固定資産税は個別に計算されますが、長期優良住宅などの減税適用期間で8~10万円/年の支払いをしている人が多いのではないでしょうか。減税期間が明けると15万円~20万円/年となり、建物にかかる部分は年々減っていきます。

賃貸にも共益費や更新料がかかりますが、固定資産税や都市計画税に比べれば安価ですね。
住宅ローン減税というものもありますが、これは固定資産税とは関係ないもので、確定申告時期に住宅ローン借り入れ残額に応じて税金の払い戻しが受けられるというものです。
具体的には、年末のローン残高の0.7%を、所得税から控除できるという制度です。
基本的には確定申告によって自分で手続きをするものですが、給与所得者は二年目以降は会社が年末調整で還付手続きをしてくれたりもします。

 

またライフステージに応じて柔軟に住み替えをしやすい点では、賃貸の方が良いと言えます。
年を取ったら階段がきついからエレベーターのある物件に引っ越すとか、子供が生まれたら広いところへ引っ越すとか、逆に成人して出ていったら少し狭いところへ落ち着いて出費を抑えるとか、転勤を命じられたら家族みんなで移動できるなどです。

 

さて、ここまでは持ち家のデメリットが強調されてしまいましたが、メリットや賃貸のデメリットも考えてみましょう。
持ち家のメリットは「広さ」と「リフォームが自由なこと」と「老後の支出が抑えられる」という点です。

もちろん賃貸物件の間取りも広さも様々ですが、同じ間取り・部屋数であれば総じて持ち家の方が広いことが多いです。
家に広さを求める人は持ち家の方が良いでしょう。
リフォームが自由である点は、設備が古くなっても買い替えがしやすい、住宅をバリアフリー化しやすいなどというメリットです。
そして購入後もしくは住宅ローン完済後は、毎月の支出が少なくなり、生活しやすくなるという点も大きいです。
賃貸はこの点において絶対的に持ち家に劣ります。老後に収入が減っても家賃は変わらず払い続けなければならないことは、資産収入の無い人にとっては大きなストレス、不安要素となるでしょう。大きなデメリットですね。

賃貸物件に住み続け、年金では生活費がたりないということで貯金と退職金を取り崩すだけの生活では、「長生きすること」そのものが不安要素になってしまいます。これは幸せな老後と言えるでしょうか。
賃貸に住み続けたいという人は、収入があるうちに十分な資産をつくり、年金以外に株式の配当金や債券の金利収入を得られるようにしておくことが老後の安心につながります。
資産形成のお話も、これはこれでとても長く膨大な量になるのであらためて書くことにします。
個別に相談したい方はお気軽にどうぞ。FPなど金融系の資格は持っていませんが、資産形成についてはひと通り勉強しましたので、一緒に考えていける材料はたくさんあると思います。私も途中ですので、ぜひ一緒に勉強しましょう。

結論としましては、資産形成の遠回りをしたくない人や、住環境に柔軟さを求める人は賃貸が向いていると言えますし、住宅にも自分の生活の満足度を求めたい人は持ち家を検討するのが良い、となります。

さて、かなり長くなってきましたので「新築か中古か」は記事を分けることにします。
そちらもお楽しみに。

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